2005年04月25日

No-Man - 「Flowermouth」

No-Man - 「Flowermouth」1994年4月発表。

Robert Fripp、Mel Collins、Richard Barbieri、Steve Jansen らの豪華ゲストを迎えた 3rd アルバム。最高傑作の呼び声も高い。

---【 作品情報 】---

英国盤 : One Little Indian - TPLP67CD : 廃盤
英国盤 : 3rd Stone Ltd. - STONE 045CD : 1999年 リマスター再発
英国盤 : Hidden Art - HI-ART 17 : 2003年再発
日本盤 : One Little Indian - COCY-78166
英国盤 : Snapper - SDPCD195 : 2005年デジパック再発

01. Angel Gets Caught In The Beauty Trap (9.56)
02. You Grow More Beautiful (5.37)
03. Animal Ghost (6.09)
04. Soft Shoulders (3.57)
05. Shell Of A Fighter (7.48)
06. Teardrop Fall (4.37)
07. Watching Over Me (4.48)
08. Simple (7.03)
09. Things Change (7.31)

[ 1999年 リマスター盤 ]
01. Angel Gets Caught In The Beauty Trap (10.34)
02. You Grow More Beautiful (5.27)
03. Animal Ghost (6.11)
04. Soft Shoulders (3.58)
05. Shell Of A Fighter (7.50)
06. Teardrop Fall (4.38)
07. Watching Over Me (4.47)
08. Simple (7.02)
09. Things Change (7.35)

[ 2005年 デジパック再発盤 ]
01. Angel Gets Caught In The Beauty Trap (10.33)
02. You Grow More Beautiful (5.26)
03. Animal Ghost (6.09)
04. Soft Shoulders (3.59)
05. Shell Of A Fighter (7.50)
06. Teardrop Fall (4.38)
07. Watching Over Me (4.43)
08. Simple (7.03)
09. Things Change (7.31)
-- bonus tracks --
10. Angeldust (9.11)
11. Born Simple (12.09)

Tim Bowness
      Vocals, Words
Steven Wilson
      Instruments
+++
Richard Barbieri
      Electronics on 05
Ian Carr
      Trumpet on 01
Ben Coleman
      Violins on 01, 03, 04, 05, 06 and 07, Electric Violin on 09
Mel Collins
      Soprano Saxophone on 01, Flute on 03 and 06
Robert Fripp
      Guitar on 01, 03, 05, 06 and 08, Frippertronics on 01, 05, 08 and 09
Lisa Gerrard
      Voice Sample on 08
Steve Jansen
      Percussion on 07
Chris Maitland
      Drums on 01 and 09, Percussion on 01 and 03
Silas Maitland
      Fretless Bass on 01

---【 コメント 】---

前作 "Loveblows & Lovecries" を上回る豪華布陣で制作された本作。今回は JAPAN 人脈に加えて King Crimson の Robert Fripp、Mel Collins 。更には Dead Can Dance の Lisa Gerrard のサンプル提供も得ている。 One Little Indian の力の入れ方が窺い知れるが、既にこの時、 No-Man とレーベルの間には方向性の相違による亀裂が生じていた。

アルバムは前作の延長にあるエレクトロ・ポップだが、その一言では括れない。要所に見せるゲスト面々の感情の迸りは楽曲に多彩な表情と更なるダイナミズムをもたらし、本作をロックとのミクスチュアへと踏み込ませている。淡いメロディの全編を通じて感じるは、愁いを含む優しさと透明感。ここに振幅の大きなアイデアが加わるのだが、押し引きを整理した配置が絶妙でゲストの強烈な個性に至るまでをキチンとコントロール出来ている。よって、華やかさを残しながらも落ち着きは増した印象。 Ben Coleman は制作前に No-Man から離脱しており、ここではゲスト扱い。

#01 "Angel Gets Caught In The Beauty Trap" からイキナリのフル・キャスト。舞い降るキーボードの中にしっとりとしたピアノのイントロが一筋の道を作り、Tim Bowness が静かに語り始める。 Chris Maitland の生ドラムにより明らかに普段のそれとは異なる空気の中、パーカッション、バイオリン、トランペット、ソプラノ・サックスが静かな感情を湛えて絡み合う。楔を打ち込み、ヴォルテージとエモーションを引き上げるのは Robert Fripp 。再び静かな流れへと還流する10分の大作。

跳ねるグルーヴとメロウ且つキャッチーで透き通るようなサビの #02 "You Grow More Beautiful" 。ガラリと空気を変えて空間を押し広げる Bowness のウィスパリー・ヴォイスを活かした十八番の展開。 Mel Collins の静暗なフルートでゆっくりと幕を開ける #03 "Animal Ghost" はグリスの効いたシンプルなベース・ラインの上でひたすらにモノトーンな Bowness 。しっとりとした揺らぎを湛えて進む。色を添えるのは再度 Collins の控えめながらも縦横に翔けるフルートと Fripp 御大。実に上品な6分間。好曲。

ややチリーな空気のヴァースと雄大さすら感じさせるスペーシーでフックの強いサビのコントラストでまとめる佳曲 #04 "Soft Shoulder" から、 同様のゆったりとしたテンポで Richard Barbieri が暖かな世界を紡ぐ #05 "Shell of a Fighter" へ。淡いメロディと淡いオルガン。見計らったようにサビに絡むピアノが曲の落ち着きをもう一歩深め、心をつかまれる。 Fripp 御大と Coleman のバイオリンにゆっくりと導かれながら、終局に溶け込んだエキセントリックさも良い。名曲。

ピヨピヨ、カシャカシャと速いテンポで能天気だが、実は細かく色々と練り込まれている #06 "Teardrop Fall" 。再びゆったりと Steve Jansen のパーカッションで進む #07 "Watching Over Me" 。淡々とレイドバックして爪弾く SW に、練るように言葉を乗せて行く Bowness 。やがてそこに被るバイオリンのサンプルが美しい。 Fripp の引っ掻くようなギターと Lisa Gerrard のあのヴィヴラートを恐れず塗して展開する #08 "Simple" 。ループの場違いな陽気さとの組み合わせが異様だが、やがてエレクトリックなバッキングの雨の中で Fripp 御大の世界が構築され始め、完全にシフトして行く。

オルガンに導かれ静穏で温かに始まるバラード #09 "Things Change" 。 SW のエレアコと共に Coleman のバイオリンによって緩やかに感情の布石が打たれ、それは中盤からの粘りつく激しいギター・ソロに繋がって行く。受け止めるためには Chris Maitland の導入が必要であったのだろうし、大正解。一つ一つの音の構成が美しい傑作。

No-Man の様式の中では納まらぬ奔放なアイデアが、アルバムの重要なアクセントとなっている。長尺に耐え得る楽曲の充実も含め、最高傑作の呼び声に相応しい内容であると思う。

---【 お薦めコメント 】---

『パルナシアンの音楽ブログ』 さんと 『80's UK New Wave』 さん、そして Fripp 御大の関わりの視点からは 『Fractalism』 さんのコメントを是非どうぞ。

---【 エディション情報 】---

レーベルを変えての幾度かの再発が行われていますが、現在最も入手しやすいのは2005年に Snapper から発売されているデジパック盤です。現在廃盤である "Flowermix" に収録の2曲がボーナスに付されていますので、トラック的にもお得になっています。

---【 蛇足 】---

No-Man 歴代のアルバムの中では最も良く売れた作品となりました。 Japan 人脈や King Crimson 人脈から辿られた方も多いため、 Steven Wilson 関連物としては珍しく古くから日本で浸透している作品です。

No-Man - 「Flowermouth」
posted by swjpbo at 20:12| Comment(11) | TrackBack(2) | catalogue : NM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
拙サイトの紹介をして頂き、誠にありがとうです!
しかし、改めて自分の「Flowermouth」のページを読み返してみると、No manの事ではなくR.Fripp視点でしかモノを書いていないですね(汗)。SWJPBOさんのエントリーを読んで凄く恥じ入るばかりです。

No manのCDは手に入り難いものが多いですよね。日本盤が出ていたFlowerMouthとReturning Jesusぐらいが何とか手に入り易いといえるのでしょうか?"Days in The Tree"というEPも日本盤が出ていたのですね。他のアルバムの日本盤というのは寡聞にして知らないので教えて頂けると嬉しいです。

SWJPBOさんのNo man・Porcupine Treeの全アルバム・レビューの完成が楽しみです(もちろんBass Communionも!)。
Posted by kazz1200 at 2005年04月25日 23:39
kazz1200さま、いらっしゃいませ〜。

いえいえ!私からすれば御大の視点についてはコメントしたくとも不可能なわけで…。氏が絡んでいる故に興味を持たれる方々は少なく無い(いや、相当多い)と思いますので、kazz1200さんのレビューに飛んで頂けるのは大変に有効かと。自己の欠損埋め合わせを勝手にお願いする形で恐縮であります。m(_ _)m

No-Man の作品に関しては、初期の物以外は何とか入手可能なようですね。Loveblows & Lovecries が廃盤なのは悲しいですけど…。
日本盤に関しては、私もほとんど情報を持っていません(笑)。後から調べてビックリした物が全てで、これから先もcatalog掲載時に同じことが起こるかもしれませんです。

全てのアルバムについてcatalog掲載することは現時点では諦めております(笑)。何か、とんでもないプレミア物を購入しなければいけなくなりそうですしね(笑)。
Posted by SWJPBO at 2005年04月26日 11:51
はじめまして!
拙ブログでflowermouthについて書いたのでトラックバックさせていただきました。no-manやPorcupine Tree、もっと知名度が上がると良いんですけどね。
Posted by glasshouse at 2005年06月28日 14:27
どういうわけか2回もトラックバックが送信されてしまったようで、すみません。お手数ですがひとつは削除してください。m(_ _)m
Posted by glasshouse at 2005年06月28日 14:41
glasshouseさま、はじめまして&いらっしゃいませ〜!
トラバを頂戴致しまして、誠にありがとうございます。m(_ _)m

やはり Flowermouth は人気がありますね〜。
KC、JAPAN との繋がり効果は絶大ですな。
今後、No-Man 名義でこのようなアルバムが創られる可能性は
低いと思うのですが、上記人脈とのコラボレーションは
継続して大いに期待したいな、と

今後のご交流の程、よろしくお願い申し上げます。m(_ _)m
Posted by SWJPBO at 2005年06月29日 01:44
80's UK New WaveのBLマスターです。
トラックバックと、記事中のリンク誠にありがとうございます。
お勧めしていただいているのに、こちらの記事の方が細かく解説しっておられるので、ちょっと恥ずかしいのですが、たいへん嬉しく思います。

これからはこちらのブログでいろいろ勉強させていただきます。
Posted by BLマスター at 2007年04月21日 20:24
BL マスターさま、ようこそいらっしゃいませ〜。わざわざのご足労を賜り恐縮であります。 m(_ _)m

こちらのエントリ内における自身のコメントは総とっかえに及びたいと考えているぐらいでしてこちらこそお恥ずかしく思います。お気付きの点がございましたらご指摘頂けますと幸いです。

Japan / JBK 人脈から no-man へと言う流れは今でも根強く多産な Steven Wilson の貴重な資産となっているようです。是非また他の SW 関連作品につきましてもご意見ご感想をお伺いできますと幸いです。どうぞよろしくお願い致します。 m(_ _)m
Posted by swjpbo at 2007年04月23日 10:51
どもどもです、ようやく『Flowermouth』を再エントリーしたので再度トラバさせて頂きました。相も変わらずにR.Fripp視点な我がサイトではありますが、「あぁ、あいつは仕方がないな」と諦めて下さい(苦笑)。

2005年にボートラ込みで再発されていたんですね、でも『Flowermix』も出た当時に購入していた為オッケーであります。追記にも書きましたがBill Smith Studioがグラフィック・デザインに関わっている事を改めて知り、何だか嬉しくなりました。
Posted by kazz12000 at 2007年05月30日 00:03
kazz12000 さま、いらっしゃいませ&いつもお世話になっております。

初めて本作についてトラバを頂戴しましたのは、もう2年以上前になりますのですね。月日の経つのは本当に早いですなぁ … 。思えばこの "Flowermouth" 以来の御大と SW の 「共演」 も実現したわけで、更には御大のプッシュで ( PT の) 日本盤まで発売に漕ぎ着けましたものね。振り返って流れた時間の中身を見てみると感慨深いものがあります。

本作のジャケット、そのトーンも含めて本当にクールですよね。私も大好きな一作です。必ずしもリンクさせたわけでは無いのでしょうが、音世界に通じる清涼感が感じられますよね。創作者本人達の心中とは裏腹に、色々なものが嵌まっていて気持ち良いです。
Posted by swjpbo at 2007年05月30日 08:22
NucleusのIan Carrお亡くなりになりましたね。
ブリティッシュ・ジャズの巨人ですが、こういった人をゲストに迎えるSteven Wilsonの耳の良さ、センスの良さに感服します。
今となってはIan Carrにとっても非常に貴重な客演だったのではないか、と思えます。

R.I.P.
Posted by T-Max at 2009年02月28日 13:56
T-Max さま、いつもお世話になっております。

Ian Carr がトランペットを披露していたのは3〜4作品でしたでしょうかね。 SW に加え Bowness さんの嗜好とも重なっていたのでしょうが、頻度は少ないながらも No-Man の長い歴史の中でポイントごとに登場なさっていますね。共に音楽を創った二人は … 自身の媒体でがっちりとコメントを出していないあたりにむしろ感情が表れているように思います。
Posted by swjpbo at 2009年03月07日 02:17
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flowermouth / no-man
Excerpt: T7でポコ、パコと地味??にパーカスを入れるS.J.目当てに買った一枚ですが……
Weblog: fakeplastic
Tracked: 2005-06-28 14:23

No-Man / Flowermouth
Excerpt: “Porcupine Tree”のSteven WilsonとTim Bownessのアンビエント・ポップ・ユニットである“No Man”の2ndアルバム3rdアルバム(2007/05/29訂正)。
Weblog: Fractalism
Tracked: 2007-05-29 23:54